全てはここから始まった。

2001年10月23日

2001年アップルコンピュータ株式会社(以後アップル、米国本社を含む)営業本部長の元に秘書からある物が届けられた。 「本部長、これを代表から渡すように言われました。」

真っ白なラッカー仕上げの表面には、大きなホイールとLCD画面のような物。それを包むようピカピカに磨き上げられた金属のタブ。 まるでクーラー用リモコンのような形状と大きさのデバイスを持った瞬間「なんだこれは?」と驚いた。外観の完成度は高いが実用性と市場があるのか疑問に思った。

アップルは既にCasady & Greene社を買収し、パソコン音楽管理ソフトSoundJam MPをiTunesとして8ヶ月前にリリースしていた。Creative社のNOMAD Jukebox(以下、Jukebox)を所有し、iTunesを利用していた本部長はJukeboxの使い勝手の悪さを理解しており「市場が小さすぎる上、未完成な技術だ。著作権の問題も山積みだしこれは難しいでしょう」と直感的に思った。

「こんなもの誰が買うんだ?」

iPodが現れる前、ユーザーは数日間かけてMac版とPC 版iTunesを利用しCD音源をMP3ファイルへと変換後、JUKEBOX等の携帯音楽プレイヤーへ転送し利用していた。CDの読み込み、転送されたファイルの検索(当時は、楽曲のスクロールも遅く、数百曲を転送していた場合には、最後尾の曲を探すのには数分かかった。)、再生には異常なぐらい手間がかかった。

マイクロドライブをベースにした音楽プレイヤーを数ヶ月間毎日利用した経験から「携帯音楽プレイヤーは問題が山積している」と確信していた。PC用高解像度音声ボードメーカーCreativeやフランスARCHOS社が争う市場はユーザーベースも小さく、製品自体もソーフトとハードが上手く連動しないものが多かった。「どうせまともに動かないギミックだろう。これはサポートが大変だぞ」と初代iPodを軽視した。 自宅へ帰りすぐパソコンに繋ぎデータ転送を試みたが上手くいかなかったが、短期間のiTunesのアップデートにより、徐々に問題は改善されていった。一番衝撃的だったのは「曲を探せる速さ」だった。ホイールと呼ばれる回転するユーザーインターフェースは画期的だった。最後尾の曲も今までの一般方式より数倍早く探せた。初代iPodテレビコマーシャルのインパクトとシームレスに作動する「携帯音楽」製品が将来世界を変える事を徐々に確信した。

アップル本社カウンターパートとiPodについて議論するなか、本社側が「本部長、このフォームファクター(形状とサイズ)でで何が出来るか想像してみろ」と言われたその時脳裏に衝撃が走った。AppleがNewton以来初めて携帯製品(電話を含む)全般の開発に取り組始めたことを理解した。 その後アップルを退社し、iPodとiPhoneのケースとアクセサリ製品をデザイン・製造するTUNEWEARを2003年に創業した。 設立後TUNEWEARはアップル向け個性的で高品質なアクセサリを多数開発し、アジアと日本でトップブランドの地位を確立、成功を収めた。

TUNEWEARは2005年から数多くの製品を出している。世界初のシリコンケースは2005年に米国パテントを申告、2006年に取得している。「今市場に出回っているパッケージや製品の大半は、TUNEWEARが提案したものが多い」と設立者は語る。その後も多くの実用新案、欧米パテントや意匠、商標を取得している。2011年にはネジを使わないFrame x Frameで実用新案、2015年位は複雑な構造を持たないケーブル製品CableArtで実用新案を取得している。


TUNEWEAR社名の由来
当初iPod専用のアクセサリー会社として設立した。キャッチコピーは「音楽を着る」、WEAR the TUNESだ。英語のコピーは「WEAR the Music, Hear the TUNES」だった。携帯電話が主流になった今でもTUNEWEARは10年の伝統を重視し社名を変更していない。